「親が元気なうちに実家のことを話しておきたい。でも、どう切り出せばいいのか分からない」

「片付けの話をしたら、親に嫌な思いをさせてしまいそう」

実家じまいを考え始めても、親が元気に暮らしていると、子どもから話を切り出すのは難しいものです。

実家は、子どもにとっては「将来整理する必要がある家」でも、親にとっては現在の生活の場所です。長年使ってきた家具や日用品にも、本人なりの理由や思い入れがあります。

そのため、親が元気なうちの実家じまいでは、「家を片付けてもらう」ことから始めるのではなく、これからどのように暮らしたいのかを確認することが大切です。

すぐに物を処分する必要はありません。重要書類の場所を聞く、残したい物について話す、将来の住まいについて希望を聞くなど、「確認だけ始める」という方法もあります。

この記事では、親が元気なうちに実家の将来を話す意味と、子どもから切り出すときの考え方を紹介します。

親が元気なうちに実家じまいについて話す意味

実家じまいは、親が亡くなった後に行うものとは限りません。

親が元気な段階で話しておく大きなメリットは、本人の希望を直接確認できることです。

たとえば、実家についても、

「できるだけ長くこの家で暮らしたい」

「将来は施設への入居も考えている」

「施設へ入ったら家は売ってもよい」

「家はできれば残してほしい」

など、人によって希望は異なります。

持ち物についても同じです。

子どもから見ると不要に思える物でも、親本人は残しておきたいかもしれません。一方で、子どもが大切な物だと思っていても、本人は「もう処分して構わない」と考えている場合もあります。

元気なうちであれば、こうした希望を一つずつ確認できます。

実家じまいを「家を空にする作業」とだけ考えず、本人がこれからどう暮らしたいのかを家族で共有する機会と考えると、話し合う目的も変わってきます。

いきなり「実家を片付けてほしい」と言わない

子ども側が実家の物量を心配していると、

「今のうちに片付けてよ」

「こんなに物を残されたら困る」

「元気なうちに捨てておいて」

と言いたくなることもあるでしょう。

しかし、こうした言い方では、親にとって「自分の持ち物を否定された」「家から出ていくことを求められている」と感じられる可能性があります。

特に現在も問題なく生活している場合、子どもが考える「将来への備え」と、親が感じている「今の暮らし」には時間感覚の違いがあります。

そのため、処分を前提に話すよりも、

「これからこの家でどう暮らしたい?」

「最近、家の中で不便になったところはない?」

「もし将来住み替えることになったら、持っていきたい物って何だろう?」

など、本人の希望を聞くところから始める方法があります。

実家じまいという言葉自体を最初から使う必要もありません。

「片付け」より「安全」をきっかけにすると話しやすいこともある

親が実家で生活を続けている場合、暮らしやすさや安全をきっかけに話す方法があります。

たとえば、

「この廊下の荷物、夜に歩くとき危なくない?」

「高い棚の物を取るのが大変なら、下に移そうか?」

「使っていない部屋の物を少し整理したら、掃除が楽になりそうだね」

といった話です。

目的を「物を減らすこと」にせず、現在の生活を安全で楽にすることに置きます。

その結果として不要な物が見つかれば、その都度本人へ確認して整理できます。

家全体を一度に片付けようとせず、玄関や廊下、よく使う部屋など、生活に直接関係する場所から始める方法もあります。

施設入居や住み替えの話が出たときも一つのきっかけ

将来的な施設入居や住み替えについて親から話が出た場合は、実家について考えるきっかけになります。

ただし、この場合も最初から「では実家を処分しよう」と結論を急ぐ必要はありません。

まず確認したいのは、新しい場所でどのような生活をしたいのかです。

施設や新居へ持っていきたい家具、衣類、日用品、趣味の物、写真などを確認します。

そのうえで、

「実家へ残る物をどうするか」

「家をしばらく残すのか」

「売却などを検討するのか」

を順番に考えます。

住み替えが決まっても、本人の気持ちが実家の整理まで追いついていない場合があります。

引っ越しと実家じまいを必ず同時に終わらせようとせず、事情が許すのであれば段階を分けることも選択肢です。

帰省したときに自然に確認する

親と離れて暮らしている場合は、実家じまいについて話す機会そのものが少ないことがあります。

その場合、帰省したタイミングで家の様子を一緒に確認する方法があります。

たとえば、

「この棚って何が入っているの?」

「大事な書類はどこにまとめている?」

「この写真、残しておきたい?」

など、目の前にある物から話を始めます。

最初から家全体について結論を出そうとすると話が重くなりますが、一つの引き出し、一つの棚について確認するだけなら始めやすいことがあります。

帰省のたびに少しずつ確認し、家族で情報を共有しておくことも将来の備えになります。

親が元気なうちに確認しておきたいこと

実家じまいを考える際、物を減らすこと以上に重要なのが、本人にしか分からない情報を確認しておくことです。

実家を将来どうしたいか

まずは本人が家についてどのような希望を持っているのか聞いてみましょう。

売却したいのか、できれば残してほしいのか、家族に住んでほしいのかなど、考えがあるかもしれません。

すぐに答えが出ない場合は、無理に決める必要はありません。

「今は決めていない」ということが分かるだけでも、家族にとっては一つの情報になります。

残したい物・譲りたい物

本人にとって大切な物も確認します。

たとえば、

  • 写真やアルバム
  • 手紙
  • 貴金属
  • 時計
  • 趣味の品
  • 仏具
  • 家具
  • 食器
  • 子どもや孫へ渡したい物

などです。

「誰に渡したいか」まで希望がある場合は、それも家族で共有しておくとよいでしょう。

重要書類の場所

実家じまいでは、家財だけでなく重要書類を探す必要が出てくることがあります。

たとえば、

  • 預貯金に関する書類
  • 保険関係の書類
  • 年金関係の書類
  • 不動産関係の書類
  • 税金に関する書類
  • 契約書類

などです。

中身の詳細まで子どもが管理するという意味ではなく、まずは**「大切な書類をどこにまとめているか」だけでも本人に確認しておく**と、必要になったときに探しやすくなります。

利用している契約やデジタルサービス

現在は、目に見える書類だけでは把握できない契約も増えています。

携帯電話、インターネット、有料サービス、定期購入、ネット銀行など、本人がどのようなサービスを利用しているのか確認しておくことも考えられます。

パスワードや暗証番号などの機密情報は、安全な管理方法を考える必要があります。

無理にすべてを聞き出すのではなく、まずは「どのような契約があるのか」を本人と一緒に整理するところから始めるとよいでしょう。

「捨てる」ではなく「残す物を決める」と考える

親子で片付けをすると、「捨てる・捨てない」で意見がぶつかることがあります。

そこで、考え方を逆にしてみる方法があります。

何を捨てるかではなく、何を残したいかを先に決めるのです。

「施設へ入るなら、この写真は持っていきたい」

「この食器は娘に渡したい」

「この工具はまだ使う」

といったように、本人が必要な物を選びます。

そのうえで、残った物について時間をかけて整理します。

判断できない物は、その場で無理に決めず「保留」にしても構いません。

実家じまいは、短時間でたくさん捨てるほど成功というものではありません。本人と家族が納得できる形で整理していくことが重要です。

親が片付けたくない場合は「確認だけ」でもよい

子どもが実家じまいを考えていても、親が片付けに前向きとは限りません。

その場合、無理に処分を進める必要はありません。

まず、

「重要書類はここにある」

「この箱は残してほしい」

「この家具は誰々に渡したい」

といった情報の確認だけを進める方法があります。

物量が変わらなくても、本人の希望や重要な情報が分かっているだけで、将来の実家じまいの進め方は変わります。

また、親が「片付ける必要はない」と考えている場合でも、転倒の危険がある通路など、安全に直接関係する場所だけ一緒に確認する方法もあります。

実際に片付けを始めるタイミングは家庭によって違う

親が元気だからといって、必ずすぐ実家全体を片付ける必要があるわけではありません。

一方で、次のような変化があれば、具体的な整理を考えるきっかけになります。

  • 親自身が片付けたいと言い始めた
  • 使わない部屋が増えた
  • 物が多く生活しにくくなってきた
  • 大型家具の管理が負担になった
  • 施設への入居が決まった
  • 小さな住宅への住み替えが決まった
  • 実家を将来売却する方向で家族の意向がまとまった

重要なのは、子ども側の都合だけで開始時期を決めないことです。

親の希望や現在の暮らしを確認しながら、「今できるところまで」を考えます。

遠方に住んでいる家族は全部を帰省時に終わらせなくてもよい

親が北海道、子どもが道外など、離れて暮らしている家庭では、実家じまいのために何度も帰省することが難しい場合があります。

だからといって、1回の帰省ですべて決めて片付ける必要はありません。

たとえば、

普段の電話やオンライン通話で親の希望を聞く

帰省時に重要書類や残したい物を一緒に確認する

家族で実家の将来について相談する

必要になった段階で片付け会社へ作業範囲を相談する

というように、段階を分けて進める方法があります。

家財の搬出などを専門業者へ依頼する場合も、家族がすべての作業日に立ち会う必要があるか、事前にどこまで確認できるかを相談しておくとよいでしょう。

片付け会社へ相談する前に親の意向を確認する

親が現在も実家で生活している場合は、片付け会社へ依頼する前に本人の意向を確認することが大切です。

たとえば、

「この部屋だけ整理したい」

「大型家具だけ減らしたい」

「施設入居までに家財を整理したい」

「住み替え後に家全体を空にしたい」

など、希望によって必要な作業は変わります。

本人と家族で大まかな方向性を確認したうえで相談すると、片付け会社にも状況を伝えやすくなります。

ただし、家族だけで作業範囲をすべて決めてから相談する必要はありません。

「何をどこまで整理すればよいか分からない」という段階で、現在の状況を伝えて相談する方法もあります。

まとめ|親が元気なうちは「片付け」より「希望の確認」から

親が元気なうちの実家じまいでは、家を早く空にすることが目的ではありません。

まず大切なのは、本人がこれからどのように暮らしたいのか、実家や持ち物を将来どうしたいのかを確認することです。

「片付けてほしい」と切り出すのではなく、現在の暮らしや安全、将来の住み替えなどを一緒に考えるところから始めてみましょう。

すぐに物を捨てなくても、

  • 実家についての希望を聞く
  • 残したい物を確認する
  • 重要書類の場所を確認する
  • 利用している契約を整理する
  • 将来の住まいについて話す

といった準備はできます。

親が片付けを望んでいなければ、まずは確認だけでも構いません。

本人の意向が確認でき、実際に家財整理が必要になった段階で、家族だけでは難しい作業を片付け会社へ相談するという順番でも進められます。

親御様の意向を確認したうえで家全体の片付けを検討されている場合は、片付ける時期や作業範囲からご相談いた・

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